1.特殊環境(低温・低湿度)における気道への影響

私のフランス4年間留学時代の研究テーマの1つは、口から吸った酸素がどのように肺まで流体力学として運ばれるか?が1つのテーマでありました。特に気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんは末梢の気管支には炎症の燃えかすである喀痰などが詰まっていて、酸素が肺にうまく到達しないため、呼吸困難に陥り重症化してしまうのであります。この研究は信州大学帰国後も続き、信州大順応生理学(上田五雨主任教授)にて研究が継続できました。、故上田先生の研究室には本邦屈指の低温、低圧チエンバーがありました。故上田先生とは第27回パリで行われた国際生理学会でお会いし、偶然ノーベル賞受賞者の樹状細胞発見者スタンウエイ先生を紹介頂いたり、私のアパートに来て和食を食べていただいたりして懇親を深めていただいたので、講座を超えて低温低圧チエンバーを使わせていただき、第28回の国際生理学会の奨励賞を頂くことが出来ました。深謝しております。内容は下記論文を参照いただければありがたいのですが、冷たい空気や乾燥した空気は気道から熱と湿度を奪い呼吸器疾患の引き金になると報告しました。俗にいう冬場夜間加湿を行わない暖房継続は気道を収縮します。また看取りの患者様が朝方多いのは温度が低くなるからでしょうか?また小児喘息の患者さんは水泳が良いのは気道が加湿するからと思われています。

 

参考資料

賞:1979年7月、第28回国際生理学会(ブタペスト)奨励賞

  (The effect of cold air exercise on the paramenters of airway mechanics)