11.おわりに

昨今、コロナ危機で医療・健康の進化が加速されています。予防を主体としたヘルスケアの社会も大きく変革しようとしております。ポスト・コロナ時代のヘルスケアニューフロンティアの1つとして、特殊環境(過重力)装置の中は、宇宙医学の1つとしても位置ずけられます。この装置が構築されると健康増強プログラムに組み入れることが出来、若返りも夢でないと思われます。過重力装置の開発に医療創生大学の関係者をはじめ地域の方々、ご興味のあるニューフロンティアの人々のご支援、ご協力を、切にお願い申し上げます。

 

経済界2020年4月号より転用

f:id:CoronavirusBuster:20201011144016j:plain

 

 

 

 

10.過重力(特殊環境)は空極の予防医学

(1) 今なぜ予防医学でしょうか?

日本の医療は車と同じように考えると、事故(病気)が起きてから修理(治療)する(治療医学) が主流です。医療保険費は43兆にもなります。一方日本の高齢化も進み、日本は世界有数の長寿国であり、2025年は人口の25%が高齢者になろうとしてます。長寿国と聞きますと健康大国と勘違いいたしますが、寝たきり老人が多く2025年には500万人に達しようとしていまして、介護保険費も15兆に達します。これだけ治療や介護を受ける人々が増えれば、当然社会保険費の医療費、介護費が増え今社会保険が崩壊しつつあるのです。

  このように危機的な状況に陥っている日本ですが、欧米の先進国は30年以上前から医療費の増大を予測して、病気になる前に予防する予防医学に取りかかっています。日本政府もやっと気がつき予防医学を4年前から国策として取り入れるようになりました。因みに予防医学に関する所属学会は、日本抗加齢医学会、日本検診協議会、日本予防医学会、日本公衆衛生学会、日本ヘルスケア学会、など沢山関連しています。従って予防医学を勉強した若者の未来は必ず開かれると存じます。

 

参考資料

ヘルスケアの未来  日本経済新聞出版、監修 アクセンチュア、2020、8月21日。

 

 (2)過重力の特殊環境こそ空極の予防医学

無重力の宇宙と逆の過重力環境は未だ類を見てない世界でありますから、沢山の研究とイノベーション産業をも生まれる可能性を示唆しています。9に前述したごとく、骨減少を抑え、筋肉の萎縮を抑える事が出来れば健康長寿社会の構築は夢でなくなり、究極の予防医学が出来上がるのです。第2章で述べているの特許発明者、田口副学長の夢ある過重力装置は極めて興味深く実現できると確信しています。

 

9.アンチエイジング医学と特殊環境(過重力)

(1)宇宙医学の進歩

宇宙飛行士に起こる人体の変化は、地球で暮らしている我々の老化現象と類似していることが多い。逆に言えば宇宙医学の成果を人類の健康長寿に生かすことが究極の予防医学と思われます。宇宙では温度変化に対する反応は、皮膚の血流が低下するために反応が鈍くなっています。筋肉は著しく萎縮し、特に下肢と背骨を支える筋肉が萎縮しまいます。また骨量がどんどん減少するのです、なぜでしょう?それは宇宙生活では腸の動きが悪くなりカルシウム(C a)の吸収が極めて低下し、骨量が減少するのです、従って骨粗鬆症になります、これはまさに(宇宙飛行=加齢加速現象)であります。宇宙医学は1950年ガガーリンの人類初の飛行当時は、宇宙医学は手探り状態でありましたが、今日まで宇宙船で長期生活している宇宙飛行士は500人にも達し、健康管理は極めて改善されました。今は宇宙医学がパーホマンスとして、(究極の予防医学)に発展しました。今注目されているのは、メラトニンアンチエイジング効果があるといわれ、長期宇宙生活に効果が認められ極めて興味深い所見です。

 

  参考資料

1984、2、7、Astr on a ut・EVA、

服部淳彦、自然界におけるメラトニンの分布、メラトニン研究会編、メラトニン研究の最近の進歩、東京、早稲田書店。

 

(2)  宇宙医学よりの健康長寿

国際宇宙ステーション(Inter national S pace Station:lSS)内で生活する宇宙飛行士は過酷な宇宙環境(微小重力、閉鎖空間 、宇宙放射線)で生活を約6ヶ月間行います。その間、骨減少、筋萎縮、体内リズムの乱れなどがリスクとして存在いたします。一方我々地球で暮らしている者にとっての高齢者は同様な医学的課題を共有します。宇宙医学の進歩、および特殊環境(過重力)におけるデーターは地上の健康長寿科学に活用出来るのです。従って空極の予防医学と位置ずけられるのです。

 

参考資料

大島博:有人宇宙飛行と宇宙医学、学術の動向、9:33ー39、2005

 

 

 

f:id:CoronavirusBuster:20201011132919j:plain

 

 

(3) 健康長寿には骨量増加を❗️

骨量は骨のリモデリングによる骨吸収と骨形成のバランスにより維持されるが、宇宙飛行や長期臥床では、骨吸収が急激に増加して骨量が減少します。宇宙飛行士の骨量減少対策としては、骨粗鬆症の患者さんと同様、栄養、運動、薬剤、の3バランスが重要でありカルシュウの入った宇宙m食、とビタミンDの入ったサプリメントを投与しています。微小重力の宇宙での骨量減少は、骨が担う過重負荷に反比例いたしまして、むしろ上肢では変動が少なく、腰椎や大腿骨に大きい傾向になります。骨密度測定装置(DXA)による骨量減少は、大腿骨がもつとも多く、骨量減少率は骨粗鬆症の約10倍になります。老人性骨粗鬆症は、加齢に伴うカルシュウ吸収低下するゆえ、65歳以上の高齢者に多く見られ、私の勤務している長期臥床の患者さんには、出来るだけ起きて動くように進めています。またデイサービスをお勧めして、通所のリハビリで少しでも骨量を減少させない努力が施設長の役目と存じます。

亡くなった明治生まれの祖父は赤髭医師で92歳まで現職医師でしたが、結核など沢山の病を克服しましたが、骨量の低下、筋肉の萎縮により転倒し骨折してから急激に弱ってしまいました。また母も結核、乳癌など沢山の病気を克服しましたが、閉経後骨粗鬆症になりまして晩年骨粗鬆症に苦しんでいました。

宇宙医学の進歩により健康長寿の秘訣は骨量減少をくい止め、、筋萎縮を抑える事が極めて重要であり老年病、予防医学の分野のトピックであります。

 

参考資料

大島博、宇宙飛行士の骨量減少、143-147、宇宙航空医学入門、監修、藤田真敬、鳳文書林出版販売。

 

(4)  健康長寿には筋肉萎縮の予防を❗️

人体を動かす動作は全てが筋肉を収縮して行われます。地上では重力に抗して筋肉を働かすが、宇宙においては微小重力ゆえ、筋肉を使うのが僅かに動かすだけでの生活であります。そのため宇宙飛行における宇宙飛行士の筋肉は、歩行に関する下肢の筋肉が極めて萎縮してしまうのです。したがって宇宙飛行士の足を、バードレック(鳥のように細い足)と称しています。

 

同じく高齢になると、筋力と骨量の減少、および筋収縮速度と筋持久力の低下が進み、加齢性筋肉減少症(サルコペニア:sarcopenia)となります.一般的には30歳から筋力低下が始まりますが、60歳頃から筋力低下減少率が増え、80歳になりますと最大筋力は60歳時の半分まで低下してしまうのです。以上特殊環境である過重力環境内では宇宙と逆ですから筋肉量が増え、健康増進および長寿社会実現に関与出来ると考えられます。

  

 

f:id:CoronavirusBuster:20201011134019j:plain

 

 

参考資料

大島博、宇宙医学に学ぶ健康長寿の秘訣、042(382)-046(386)日本坑加齢医学会雑誌、vol、9、NO

3、2013。

8.過重力訓練施設は安全か?

(1) ジェットコースター、

デズニーランドは大好きでよく娘と出かけ娘の好きなジェットコースターは、歳を取るほど苦手となり2Gでも呼吸困難、皮下出血、意識消失の症例を見ていますので、ついつい足が遠ざかり専ら好きな(海底2万マイル)に入場 していました。娘には意気地なしと言われましたが、若かりし頃は富士急ハイランドのドドンパによく行来ました。G(重力)は4、25ですから、もし50歳以上になってから乗りましたら、おそらく意識消失になったのでは!と想像致します。富士急ハイランドのジェットコースター施設には、年齢制限などの安全指針が設けられていますが、今考えている過重力訓練施設にも当然安全指針が当然必要と思われます。

 参考資料:日本機械学会 交通・物流部門ニュースレター23、2002。

              富士急ハイランドホームページから

f:id:CoronavirusBuster:20201011132035j:plain

 

 

(2)   日本における人工重力発生装置、

 調べた限りでは、JAXA防衛省入間基地にある航空医学実験隊以外にも愛知医科大学、佐藤・岩瀬教授研究室。日本大学医学部岩崎教授、研究室。中部大学平田豊教授の5箇所のみでありいずれも1人乗の実験装置と拝聴しておりますが、JAXAは宇宙船内のシュミレーターと聞いております。後述します田口副学長が特許を取り、医療創生大学に構築しようとする施設は、かなり大掛かりな施設であり、長時間滞在型ゆえに、緊急時の脱出方法 、トイレ、入浴、シャワーなどをどのように構築するか?は大きな問題であります。しかし防衛医科大学の藤田教授の研究室ではすでに詳細に研究されており藤田教授が考えている長時間滞在型施設の構想は安全が担保されると確信いたします。

 

DoraisGA、modular extended-st a hypergravity facility design concept.NASA,/TM-2015-218935.2015. 

Horvath SM.Botelho SY. Orthostatic hypotension following hot or cold bathe.J Appl Physiol 1 (8),586-96.1949.

 

(3)  過重力長時間の生体ヘの影響

 初期10日日間は食欲が低下してますが、約10日にて適応アダプテイションされ、むしろ10日以後は食欲が亢進となり、筋力も増強し①骨密度も増加する②とのデーターであります。金メダルリストの田口副学長先生が後述する(極限環境トレーニング)には最適でありますことは自明の理であります。本装置の安全性が保たれれば骨密度、骨量が増えることにより、女性に多い骨粗鬆症の治療効果に期待でき、予防医学へ多大な影響を与えると思われます。

 

参考資料

①、武井元、奥野誠、過重力環境がマウスの行動に及ぼす影響、Spac e  Ut il iz  R es、24、ISAS/JAXA2008

②、Gr opp oER、E a st l a c k  RK、M a h arA、H ar ge n s AR、P e d o w it zRA、S i m u l at ed  hyper gravity  run n ing incr e a s es  sk elet al and cardio vasucular loads、Med Sci     Sports  Exerc37(2)、262-266、2005

7.日本坑加齢学会(アンチエイジング)と宇宙医学

数年前、横浜で行われた日本坑加齢学会に参加しましたが美容関係者の集まりのように感じ馴染めませんでした。

その後学会雑誌が送られてくる中で下記参考資料の宇宙航空医学に関する特集号は、極めて優れ物で関心があり宇宙医学の最先端が網羅されていました。特にJAXA大島博先生が述べている宇宙医学研究では予防医学的対策を実践すれば骨量減少や体力低下のリスクが軽減出来る事、および生体リズムを整え日中の効率を改善するためには、規則正しい生活と照度調整などが重要と述べています。私は今日まで1~6まで前述しましたように、異常環境の中で呼吸器を勉強してきましたが今後は宇宙医学に目を向け(ピンピンころり)100歳社会に向け、健康長寿社会を実現したいと思います。その意味でも田口副学長が後述する、過重力装置は、(空極の予防医学)に発展させる可能性が大であります。

 

参考資料:日本坑加齢医学会雑誌  2013 Vol、9NO、3     

特集:宇宙医学とアンチエイジング

 

f:id:CoronavirusBuster:20201011135817j:plain

 

 

 

6.藤田先生(防衛医科大学教授)より過重力の安全性を伝授いただく

前述した田口副学長(医療創生大学)は、考案しドラゴンボウルに出てくるような過重力の実験室を民間レベルで営業しようとお考えになっています。また既にお考えは特許をお取りであり極めて興味深い施設であります。しかしブログ4においても航空医学実験隊にて実験を経験した結果、および藤田教授の動物実験結果を踏まえると、内外ともに民間レベルで過重力装置がまだ施行されていない現在、もし大学に構築されると、世界初であり、話題性は高いと思われます。しかし安全性確保が極めて重要であり、慎重を期す必要があります。藤田先生の論文では、安全性について詳細に研究されており生命に関わる問題で大変勉強となリました。先生のおっしゃりたい事は、過重力という特殊環境内に入るには前室で適応(アダプテイション)をしつかりしてから過重力環境に導入して、生体に異変が起きた場合は中止する英断が安全性確保の第一歩と述べています。特に末梢循環障害に注意して心肺機能・脳血管状態の微細なフォローが常時必要です。前述した圧・温度・酸素そして重力、これら全ての異常環境装置は、安全性のチェックこそ肝でありチェックをおこなってし過ぎる事はありません。その点さえクリアーしたら、世界で類のない異常環境過重力装置は、たくさんのイノベーション研究と産業を生み出すでしょう。楽しみです。

 

参考資料:藤田真敬、宇宙航空医学入門、鳳文書林出版。

 

f:id:CoronavirusBuster:20201011131649j:plain

 

 

 

 

5.宇宙航空医学学会との出会い

昨年6月田口医療創生大学副学長に誘われて千葉県佐倉で行われた宇宙医学の 学会(下記参考資料、大会長 和気秀文)に参加しました。昼の学会総会の時は防衛医科大学の時教えた学生がたくさん挨拶してくださりましたが、皆立派な医師・医官となっていてビックリ 、自分も老けたと感じました。学会の演題は極めて興味深く特に過重力の世界はアンチエイジングであり、早速学会員となりました。学会を引っ張っている学問的リーダーは防衛医科大学教え子の、環境生理学主任教授の藤田先生であり、日本の宇宙医学の第一人者であります。 彼は学生時代から光っていて今でもブログでお会いしているが感性が鋭く、良い意味で宇宙人であります。一方JAXA医師トップの防衛医科大学教え子の三丸先生も参加していましたが、宇宙船の乗員の臨床データーは同じ臨床医の私としても大変勉強となりました。コロナ以前JAXAのあるつくばと以前霞ヶ浦特攻隊に近い料亭で(山本五十六連合艦隊長官の常連)三丸先生・藤田先生・田口副学長(金メダリスト)と杯を交わした時は宇宙医学の夢を語り明かし、無重力のほろ酔い気分になり楽しい思い出となりました。

 

  参考資料:第64会日本宇宙航空医学会大会    宇宙開発を支えるスポーツ健康科学、順天堂大学さくらキャンパス、大会長 和気秀文。

f:id:CoronavirusBuster:20201011131139j:plain